Fig-1 Location of the Kansai Int'l Airport
Fig-2 Structure and location of the seawall and position of the stations investigated. Numbers in circle (?-?) indicate stations
(以下、傾斜護岸という。)となっている。
関西国際空港?は、護岸標成(1987年12月)と同時に空港島を魚礁としての機能を創出するため、傾斜護岸上に6種類の大型海落の人工移植種苗を行うとともに、その効果を確認するため追跡調査を実施した。併せて、天然種苗起源により着生する海藻の種類、密度等の他、そこに蝟集する魚介類について護岸全局を対象として調査を行ってきた。
この結果、面積23?、50種類を超える海藻群落が形成されていることが分かった。このうち、魚介類の産卵場、餌料場、隠れ場、保育場の機能を有するガラモ場は約11?に達している。さらにこれらの海藻群落に、113種類の魚介類が蝟集して経年的に多様化してきている。また、蝟集した魚介類についてみれば、これまで空港島建設以前の砂泥域には生息していなかった、食物連鎖の上位に位置する多くの岩礁性の魚介類が護岸を生息場として利用していることが確認された。このことはそれらを支える下位の栄養段階(餌)が形成されていることを示すものである。このことは、空港島を中心とした隣接水域で、海藻群落を取り巻く新たな生態系が創出されているものと考える。
一方、傾斜護岸における環境条件が生態系に及ぼした影響を明らかにするため、これまで当社が行ってきた建設段階での環境監視調査等のデータを多面的、体系的に整理・解析した。
本小論では、空港島周辺海域の生態系の変遷と護岸別特性及び、データ解析結果から護岸周辺海域の海生生物に対しての物理的外力による影書指標である波浪、流れ並びに植物の成長に及ぼす光等について述べる。
2.空港島書岸の構造
空港島の護岸は地盤や海象条件、大阪湾及び周辺海域の海洋環境への影書、埋立後の土地利用、経済性等を総合的に勘案して4種類の構造が採用されている。
A護岸醐婁傾斜石積護岸で、自然石を積み上げてさらにその表面を被覆している、また、波浪を防ぐため、消波ブロックを設置した。水深5.5mの位置に幅15mの水平部を設けている。
B護岸も緩傾斜石積護岸であるが、波浪の影響が少ないため、消波ブロックを設置していない。水深5mの位置に幅10mの水平部を設けている。
C護岸は直立護岸(直径23mの鋼製セル)である。
D護岸は海上アクセス基地で、スリットケーソンを配した直立護岸である。
3.護岸局辺海域の生物
3-1海藻群落
1996年3月までに護岸全周で確認された海藻は、人工移植種苗を行った6種類を含めて53種類で、その出現特性はつぎのとおりである。
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